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番外編 伊澤さんはご機嫌斜め

「未知はサッカーとフットサルの違い分かるか?」 「興味がないから全然分からない」 「だよな。サッカーじゃなくて、フットサルの試合だよって、奏音のヤツ、龍成に得意気に教えていた。東京に行けば、辺鄙な田舎町とは違いなんでもあるから、色んなことにどんどんチャレンジして好きなことを見付ければいい」 「僕もそう思う」 ようやく泣き止んだ奏音くん。 光希さんの服にぎゅっとしがみつき、片時も離れようとしない。 一太以外の子どもたちはみんなまだ眠ってる。 龍成さんと根岸さんと鞠家さんは、これから行く予定の磐梯フットボールセンターのウェブサイトを見ながら気難しい表情でなにやら話し込んでいる。 「楮山組の二次団体、三次団体にサツが朝7時ちょうどにガサ入れに入ろうとしたが、本部同様徹底交戦の構えを崩さず、怒号が飛び交い、サツと揉み合いになって、えらい騒ぎになってるぞ」 お祖父ちゃんがあくびをしながら姿を見せた。 居間の端っこにいた伊澤さんがぷいっと顔を逸らした。 「深夜三時過ぎまで一睡もせずに羽鳥湖にいたんだ。そりゃあ、度会の家に辿り着く前に精魂尽き果てるわな。ハチがやむを得ず根岸の家に担ぎ込んだんだ」 だから伊澤さんがご機嫌斜めなんだ。鈍感な僕でもすぐにぴんと来た。

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