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番外編伊澤さんはご機嫌斜め

「深夜1時すぎ。貸別荘に突如として火の手が上がった。サツが窓を突き破り、一斉に突入したが、人質にされた男女10名、犯人の楮山組の元構成員2名、全員亡くなっていた。義足の男が不敵な笑みを浮かべながら、2階の窓から飛び降りたらしい。サツの話しだと、人質の数は12名」 「12名?先に飛び下りた女性を足しても一人足りないよな」 「サツが地元消防団と協力して、日の出とともに周辺の捜索と、山狩りをはじめると話していた」 お祖父ちゃんが心配そうに奏音くんををちらっと見た。 「大好きなママに次に会えるのは3か月先だからな」 「だから龍成も危険を覚悟の上で二人を見送ることにした。だから鞠家と根岸であぁやって警備をどうするか話し合ってる」 「そうか」 「駅前の繁華街で人様の迷惑も考えず朝っぱらからドンパチしているような連中だ。素直に話し合いに応じるような連中じゃない」 「昔の九鬼総業、そのまんまだな」 お祖父ちゃんがはぁ~と、ひとつため息をついた。 「伊澤にさっきら睨まれているんだ。どうしたら機嫌が直るか分かるか?」 「ほっといてもそのうち機嫌が直る。茨木さんも大変だ」 彼が愉しげに笑いだした。

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