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番外編 世間を欺く仮の姿
「オヤジすみません。ひまちゃんのオムツも交換するのでもうちょっと掛かります」
「主夫にしておくのが勿体ないな」
「本部長という肩書きがある手前、組事務所にいて欲しいんですが」
「まずそれは無理だな」
彼とお祖父ちゃんのもとに太惺と心望が手でバランスを取りながらあんよしてきた。
「ふたりとも見ないうちにいっぱい歩けるようになったな。大きいじぃじ、風呂に入っていないからな。少し臭いかも知れないぞ」
そんなのは関係ないとばかりにふたりは競うようにお祖父ちゃんの腕のなかに飛び込んでいった。
「いゃ~~めんこいな」
差し迫った状況だからこそ、ふたりの笑顔がひとときの癒しを与えてくれる。
「ほら、ひまちゃんのママいた。オムツを履きたくなくて、逃げ回っているうち、たいくんとここちゃんが寝ているひまちゃんにぶつかって、それで目が覚めてしまったんだ」
陽葵を抱っこし柚原さんがようやく姿を見せた。
「姐さん、あとは頼みます」
「はい」
腕のなかにそっと手渡された。
「オヤジが俺を呼んだのは、光希と奏音のあとを追え。狙撃手からふたりを守れ。でしょう」
「相変わらず地獄耳だな」
「たまたま聞こえただけだ。ヤスの怪我の具合は?」
「頬を掠めた程度で済んだらしい。ヤスは目がいいからな」
「無事なら良かった」
ほっとし胸を撫で下ろした。
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