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番外編 テウという男

ー未知、近くに鳥飼さんいる?電話を掛けても繋がらないんだー お昼近くになり睦さんから電話が掛かってき た。 「その声は睦か?」 ーお義父さんー 「元気そうだな。颯人と仲良くしているか?」 ーはい。お義父さんにプレゼントしてもらった旅行券で彼と、そのはじめてふたりで旅行に行ってきましたー 睦さん、照れてるのかな?声が上擦ってる。 「それなら良かった。睦、鳥飼はテウにこう言った。俺は菱沼組のオヤジと姐さんを心から崇拝している。お前らに協力する気はない。九鬼総業を再興したければすればいい。ただしかたぎになった睦を巻き込むのだけは絶対に許さねぇってな」 ー羽鳥湖の貸別荘立て籠り事件の被害者の似顔絵をお客さんがスマホで見てて、その中に母さんにそっくりな子がいたから、彼が遼成さんに聞いてくれて。それで、母さんを連れていったテウという人のことを思い出したんだ。九鬼総業を再興させようとしている。妹かも知れない中学生がいる。ごめんなさい。頭が混乱してー 「まぁ、無理もない。睦、妹とは会ったことがあるのか?」 ー2歳くらいまで本宅にいたのは確かだよ。母さんが二人目を妊娠かもしれない、それを聞いた父が母さんの頬をビンタして、喧嘩になったことがある。妹とは8歳離れているからそうすると今14歳だと思うー 「辛いこと思い出させて悪かったな」 ー彼がそばにいるからー 睦さんの声が一層弾んだ。 お義父さんと電話してるから。颯人さん擽ったい。変な声、聞こえちゃうから。 受話器の向こう側から漏れ聞こえる声に、 「第三日曜日だから店が定休日か。出歯亀だったようだな。まぁ、せいぜい頑張って子作りに励むんだな」 ーえ?お義父さんー お祖父ちゃんが通話を一方的に切った。

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