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番外編 新たな潜伏先
「これは何ダムっていきなり聞かれてもな。橘、分かるか?茨木さん、分かりますか?県内にあるダムらしいんだが」
添付されていた写真をふたりに見せた。
「羽鳥湖のダムじゃないな。岩を積み上げた巨大な壁のすぐ下に一軒だけ宿がある」
「それ日中ダムかもしれません」
「知ってるのか?」
「えぇ。喜多方に所用があり、帰りに柚原さんと一度だけですが、宿に立ち寄ったことがあります。遥琉、未知さんが返信した方が早く返事が来ます」
「言われなくても分かってるよ。喜多方に行ったなんてはじめて聞いたぞ」
「クライアントが市内から喜多方に急に引っ越したんですよ。もういいでしょう」
余計な詮索をされたくない橘さん。
それが面白くない彼。
不貞腐れながらスマホをぽんと渡された。
「新たな潜伏先か?」
「人里から離れていて、山深い山間部。一時的に身を隠すのにはいいかもしれませんけど、私は嫌ですよ」
「熊が出そうだもんな。橘でも怖いものがあったとはな」
お祖父ちゃんが声を立てて笑い出した。
「地竜から返事はあったか?」
「うん」彼にスマホを渡した。
「夢華らは山のなかに隠しておいた宝を持って、山形を経由して仙台に行くと見せかけ、シェドが仕事で滞在している新潟に向かうつもりだ。宝とはつまり大麻のことだろう。立てこもり事件で大勢のひとを互いに殺し合わせ、火を放ち証拠隠滅を図った極悪非道なカルト集団だ。何をするか分からない」
彼と橘さんとお祖父ちゃん、三人で話し合い地竜さんから許可をもらい、国井さんとチカちゃんにその情報を伝えた。
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