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番外編もやもや
「マーは優しすぎるの。我慢強く耐えなくていい。怒ってるんだからね、たまにはアピールしないと。焼きもちも妬かないと。夫婦喧嘩もしないと」
「果報は寝て待て。だから、寝たふりする」
紗智さんと那和さんが陽葵の顔をそっと覗き込んだ。
「ひまちゃんもそう思うよね?」
「パパしっかりしないって」
「マーみたいに優しくてパパに尽くしてくれるママ、どこを探してもいないよね」
「そばにいるのが当たり前になってるからね」
「それ言えるかも」
パチンと那和さんが両手を叩いた。
その音に陽葵の体がびくっと震えた。
「驚かせてごめんね」
「びっくりしたよね?」
「大丈夫だよ。お兄ちゃん、お姉ちゃんたちに毎日鍛えられているから、五月蝿くても寝たいときに寝るから。ね、ひまちゃん」
陽葵の頬っぺたを指でつんつんすると、嬉しそうに微笑んでくれた。
「○✕△○✕!」
紗智さんと那和さんの声が見事にハモった。頬っぺに両手をあてると、陽葵の顔をうっとりと見つめた。
「思わず中国語が出ちゃった。ごめんね。天使の微笑みだ。可愛い!って言ったの」
紗智さんと那和さんと盛り上がっていたら、俺はお呼びじゃないな。出直してくる。寂しそうな彼の声がドアの向こう側から聞こえてきた。
悪いことしちゃったかな。
ごめんね遥琉さん。
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