1751 / 4011

番外編もやもや

「マーは優しすぎるの。我慢強く耐えなくていい。怒ってるんだからね、たまにはアピールしないと。焼きもちも妬かないと。夫婦喧嘩もしないと」 「果報は寝て待て。だから、寝たふりする」 紗智さんと那和さんが陽葵の顔をそっと覗き込んだ。 「ひまちゃんもそう思うよね?」 「パパしっかりしないって」 「マーみたいに優しくてパパに尽くしてくれるママ、どこを探してもいないよね」 「そばにいるのが当たり前になってるからね」 「それ言えるかも」 パチンと那和さんが両手を叩いた。 その音に陽葵の体がびくっと震えた。 「驚かせてごめんね」 「びっくりしたよね?」 「大丈夫だよ。お兄ちゃん、お姉ちゃんたちに毎日鍛えられているから、五月蝿くても寝たいときに寝るから。ね、ひまちゃん」 陽葵の頬っぺたを指でつんつんすると、嬉しそうに微笑んでくれた。 「○✕△○✕!」 紗智さんと那和さんの声が見事にハモった。頬っぺに両手をあてると、陽葵の顔をうっとりと見つめた。 「思わず中国語が出ちゃった。ごめんね。天使の微笑みだ。可愛い!って言ったの」 紗智さんと那和さんと盛り上がっていたら、俺はお呼びじゃないな。出直してくる。寂しそうな彼の声がドアの向こう側から聞こえてきた。 悪いことしちゃったかな。 ごめんね遥琉さん。

ともだちにシェアしよう!