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番外編 もやもや

「未知さん先ほどはすみませんでした」 「姐さんすみませんでした」 それから30分後。 橘さんと柚原さんが連れ立って謝りに来てくれた。橘さんに急遽呼び出されたのかな?柚原さんは息を切らし額の汗をハンカチで拭っていた。 「僕の方こそごめんなさい。頭の中が混乱して、自分でも訳が分からなくなってしまってしまったんです。冷静になって、自分が悪い………」 「未知さん」 橘さんが語気を強めた。 「悪いのは私です。遥琉を押しのけたとき、もしそこにたいくんが突進してきて下敷きになったら……と考えたら、どうしても押しのけることが出来なかったんです。これじゃあ、言い訳にもなりませんね」 「ううん。橘さんは、彼と会わせてくれた。苦しい生活から救いだしてくれた。ピンチのとき必ず助けてくれた。さっきも太惺が怪我をしないようにしてくれた。感謝しなきゃいけないのに、焼きもちを妬くなんて」 「それが未知さん、ちょっと困ったことになってまして」 「困ったこと?」 首を傾げた。 「どうやらお喋りが大好きな烏がいるらしい。姐さんが焼きもちを妬いて怒ること自体ほとんどないから、物珍しいって、あっという間に広がって、姐さんが大好きな方々から早速オヤジに苦情の電話が。さっきから鳴りっぱなしだ」 橘さんだけじゃない。柚原さんまで頭を抱えてしまった。

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