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番外編 報復措置

パンパン。 空耳かも知れないけど、乾いた音が2回したような気がして、何気に窓を見ると、道路を挟んだ向かい側に建設中の十階建てのビルの窓に黒い人影らしきものが見えたような気がして思わず立ち止まると、その直後ぴかっと何かが一瞬だけ光った。 「姐さん、頭を下げて!。優璃、きみもだ」 マー!ウーさんと柚原さんが血相を変えてすぐに駆け付けてくれた。 「あれは恐らく改造銃だ。飛距離を確認するのに試しに発砲したんだろう」 その場にしゃがみこむとウーさんが僕たちの盾になってくれた。 「柚原さん、さっきの音は?」 「ガサ入れに対する報復措置だろう。ついさっきエントランスに一発撃ち込まれた。姐さん、よく気付きましたね」 「パンパンって二回、音が聞こえてたような気がして……紗智さんまだ出てきちゃ駄目」 ガチャガチャとドアノブが動く音がして、慌てて紗智さんか亜優さん、どっちかに声を掛けた。 「柚原さん、一太は?たいくんとここちゃんは?」 「ふたりとも一太にしがみついて熟睡中だ」 「念のため見てきます」 橘さんが腰を低く屈めて移動をはじめた。

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