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番外編 あれ?珍しく焼きもち妬いてない
「姐さん、妹がいろいろと迷惑を掛けた。これからは、度会さんと紫さんの力を借りながら、妹と、姪と甥たちを支えていくつもりだ」
「信孝さんお願いがあるの。昔の鳥飼さんみたく、なにもかもひとりで全部抱え込もうとしないで。明日、ナオさんが退院してくるんだよ」
「未知の言う通りだ。頼ったらいいんだ。鞠家たちもいるし、舎弟たちもいる。みんなで協力する。何でも手伝う。だから、遠慮せずに声を掛けてくれ」
「子守りは私と柚原さんに任せてください」
彼と橘さんが居間に姿を見せた。
「ありがとう。感謝する」
信孝さんが頭を下げた。
「兄貴は恵まれている。羨ましいよ」
「そんなことない。オヤジと姐さんのお陰だ」
光希さんと奏音くんと根岸さんは、チェックアウトしたのち、裏磐梯まで足を伸ばし、深緑の桧原湖をのんびり散策してきてから帰宅すると連絡があった。
龍成さんは文句も言わず、珍しく焼きもちも妬かず光希さんと奏音くんが帰ってくるのを大人しく待っていた。気心の知れた仲のいい友がたくさんいるんだもの。
「遼兄貴は、ひとりで寂しいから早く帰って来てくれ。光希の手料理が食べたい。おんなじことを何回もメールしてくるんだ。42歳にもなって困ったもんだ。俺をガキ扱いばかりするけど、自分だってガキの癖に」
スマホの画面に目をやると、やれやれとため息をついた。
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