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番外編 光希、奏音お帰り‼
「光希、奏音、お帰り!」
嬉しそうに破顔し、ぶんぶんと両手を大きく振る龍成さん。その手にはあのタオルがしっかりと握り締められていた。
「りゅう、パパ!」
エレベーターが9階で止まり、扉が開くなり奏音くんは脇目も振らず真っ直ぐ龍成さんの胸元に飛び込んでいった。
「かなたがいなくてさみしかった?」
「あぁ、寂しかったよ」
むぎゅーと抱き締められ、
「パパ、くるし~~ぃ」
「ごめんな。力の加減の仕方がいまいちよく分からなかったんだ」
慌てて腕の力をすっと抜いた。
「銃弾が撃ち込まれたって聞いた。本当、好きだよね。窓ガラス一枚交換するのに何万とお金が掛かるのに」
光希さんが苛立ちながら姿を現した。
「隣近所の住人に被害が及ばなかったから良かった。会計やりくり担当の鳥飼が目を吊り上げおっかねぇツラしながら電卓を叩いていたがな。それはそうと、縣一家の組事務所にも銃弾が撃ち込まれたんだろう」
「狙われるのは仕方がない。遼も遥琉も、本部の幹部だし。とおの昔に諦めている。シェド、女を盾にして、まんまと雪華らと逃げたみたいだね。男の風上にも置けないくらい卑怯な男だよね」
光希さんがようやく龍成さんが握っているタオルの存在に気付いた。
「ちょっと龍」
顔を真っ赤にし、慌ててそのタオルを取ろうとしたら、
「ん?濡れてる?何で?」
「ひとりで寂しくてスリスリしていたんだが、そのうち匂いを嗅ぐだけで満足出来なくて、チュッチュッってそのタオルをずっと吸っていたんだ。羨ましいよ。こんなにも龍成に愛されるお前が」
彼の言葉に光希さんの表情が固まってしまった。
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