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番外編 千里さんが寄越してくれた協力な助っ人
「いやぁ~~幹部総出で熱烈大歓迎してもらって年甲斐もなくどきどきした。未知、久し振り。これ出産祝い。お返しはいらないからね。あれ?ひまちゃんは?」
姿を現したのはお兄ちゃんのお父さん、秦さんだった。まさか来るとは思わなかった彼が一番驚いていたかも知れない。
「今連れてきます」
「寝てるならいいよ。根岸夫婦のところにしばらく居候する予定でいるから」
居間を覗いた秦さんが藍子さんの遺影の前にちょこんと座り手を合わせる奏音くんの姿を見付けた。
「あの子が光希ラブの奏音くん?」
「はい。そうです」
「根岸に似て男前のいい面構えをしている。将来間違いなくマザコンだって千里が言ってたぞ。遼成と龍成と光希を取り合う日が来るまで長生きしないとな」
秦さんが奏音くんを怖がらせないように初めまして。一太くんのじぃじだよ。宜しくね。優しく声を掛けた。
「おじちゃんもママに線香をあげていいかな?」
「はい」
「ありがとう」
隣に座ると、あるべきものがないのに気付きキョロキョロと辺りを見回した。
「なんせ悪戯大好きっ子がふたりいますからね。かんかんと鐘を鳴らしたくてしょうがないんですよ。火傷したり灰を口に入れたりしたら危ないので、普段は手の届かない高いところにしまってあるんですよ」
橘さんがご焼香セットが乗ったお盆を台所から持ってきてくれた。
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