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番外編 千里さんが寄越してくれた協力な助っ人

「柚原と鳥飼をばかにしている楮山をぎゃふんと言わせてやろう」 秦さんが太惺と心望を交互に抱き上げてくれてくれて。小さな手に何かを握らせた。 「青空を助けに行かなきゃな」 一太と奏音くんにも何かを渡すと、鼻唄を口ずさみながら上機嫌で組事務所に向かった。 「ポチ袋食べちゃ駄目。お腹、痛い痛いになるよ。なんで握らせるかな。橘、ヘルプ!」 那和さんのSOSに橘さんが素早く動いた。 野菜せんべいをふたりに手渡すと、ぽいっとポチ袋をすぐ離してくれた。 「ありがと、いってなかった」 「かなたも」 一太と奏音くんがポチ袋を握り締め、秦さんのあとを慌てて追い掛けた。 「ドクロの刺青を全身に入れた怖いお兄さんがいるから止めとけ」注意する彼の声はふたりに届かなかった。 「見た目でひとを判断するな、根岸さんが口を酸っぱくして奏音くんに言ってますからね。何事も経験です」 橘さんが秦さんからのお駄賃ですよ。そう言って紗智さんと那和さんにもポチ袋を渡した。 「秦さんにとって未知さんの子どもは全員孫なんですよ。年齢は関係ありません。目に入れても痛くないくらい可愛くて仕方がないんですよ。遠慮なくもらっておけばいいんですよ」 突然のことに戸惑うふたりに優しく声を掛けた。 「秦さんは相変わらず気前がいいな。これはパパが……」 「は~~る~~」 これでもかと目を吊り上げる橘さん。 「さっきも言いましたが、これは」 「分かってるよ。冗談だ。猫ばばする訳ねぇだろう。頼むから、そんなおっかねぇ顔すんな。あ、そうだ。急用を思い出した」 橘さんに睨まれ脱兎のごとく逃げ出した。

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