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番外編 新婚さんの悩み

「高行さん、こんなおっきいの入んない。絶対に無理。痛いの嫌だ」 「無理じゃない。龍成のはこの太さだ。何回か練習すれば入るよ」 「ちょっと待って、龍成さんのってこんなにおっきいの?」 「昇龍会のなかでヤツのサイズがいちばんだ。いまだに、超えるヤツは現れない」 賑やかな子どもたちの声が風呂場から聞こえてきた。 何気に居間を覗くと、紗智さんがピンク色のバイブを鞠家さんに渡され、顔を真っ赤にし、もじもじと照れていた。 「オヤジの許可はもらった。たまには外泊もいいだろう」 おでこにチュッと軽くキスをすると、紗智さんの顔がゆでたこみたくさらに真っ赤になった。 「あ、姐さん。なんでこんなところに」 鞠家さんが腰を抜かすくらいびっくりしていた。 慌ててバイブを手で隠す紗智さん。といっても丸見えなんだけど。こういう時は、そうだ。 「行ってらっしゃい」笑顔で見送るのがいちばんだ。 「子どもたちがお風呂から上がってくる前に出掛けないと。捕まるよ」 「ありがと、マー」 恥ずかしそうに目を伏せる紗智さんに、 「行こうか」 ニッコリと微笑むとすっと手を差し出した。 こっから歩いて10分ほど。駅前のアーケード通りに新しくシティホテルがオープンしたみたいだった。 「鞠家」 出掛けようとしたふたりを弓削さんが呼び止めて、小さな箱をポイと投げた。 見事にキャッチした鞠家さんは、 「おぃ、弓削!」 声を荒げた。

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