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番外編 兄想いの龍成さんからの贈り物

「遥琉さん、下の部屋そんなにすごいことになってるの?」 「龍成が何を考えているか俺にはさっぱり分からない。壁紙も布団も枕もクッションもラグもハート一色だ。落ち着いて寝れやしない。しかもピンクのリボンをつけた大人のオモチャが普通にそこら辺に置いてあるし。晴や未来がいるんだ。隠すかしまえって言ったんだが……あの信孝でさえ唖然としてフリーズしていたからな。ナオもきっと茫然自失になる」 「龍成さんは兄弟想いだから。信孝さんとなかなか会えない分、誰よりも信孝さんとナオさんの幸せを願っているんだと思う」 「俺もそう思う」 頭を悩ませる問題でもあるのかな。顔色が悪い。 「遥琉さん大丈夫?」 「いや、何でもない。じゃない、大丈夫だ」 動揺し声が裏返っていた。 「鞠家夫婦も縣夫婦も今頃盛り上がっている頃です。根岸夫婦も仲直りの真っ最中です。子どもたちを寝かし付けて何もなければ柚原夫婦もこれから盛り上がる予定です。むらむらして収まりがきかないと正直に言ったらいいんです。それで怒るような未知さんではありませんよ」 髪をタオルで乾かしながら橘さんが姿を現した。しかも初めて見る浴衣姿で。項が色っぽくて、ドキッとするくらい色気があった。 「私に見惚れるのは一向に構いませんが、未知さんに構ってもらえなくなりますよ」 「は?誰が見惚れるって?」 「鼻の下が伸びてますよ」 「な訳ないだろう」 「じゃあ、聞きますがさっきからなんでそんなに汗をかいているんですか?」 鋭い指摘にギクリとする彼。 「図星、ですね。駄目ですよ私こう見えても人妻なんですよ。元カレと不倫する気もヨリを戻す気もさらさらありませんので」 そこで言葉を一旦止めると、ぼさぼさであちこち跳ねまくっている髪をそっと撫でられた。

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