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番外編 夫婦水入らず
「私に見惚れている暇があるなら、未知さんの髪を梳かしてあげたり、肩や背中、それに腰を揉んであげたり、少しは労ってあげたらどうですか?産後、満身創痍の状態で、ひまちゃんだけじゃなく、他の子の面倒をみているんですよ」
「はい。分かりました。以後、肝に銘じます」
姿勢をただし座布団の上に座り直すとしゅんとして項垂れた。
笑ってはいけないんだけど、なんだかおかしくて。笑いの壺に入ってしまいしばらく止まらなかった。
「普通笑うか?」
「ごめんなさい」
すっかり彼がへそを曲げてしまった。
「痛かったらちゃんと言えよ。遠慮するなよ」
「うん」
「揉んだことがねぇからな。力加減とか、どこ揉んだら気持ちいいのか全然分からねぇんだよ。ごめんな未知。下手くそで」
「そんなことないよ。すっごく気持ちいいよ。遥琉さんの方こそ大丈夫?疲れているんだもの。無理しないで」
「こんなの疲れているうちに入らないよ」
布団の上にちょこんと座り、後ろに座った彼に肩と背中と腰を揉んでもらった。
そのあと一緒に布団に入り、彼に腕枕をしてもらい、陽葵が目を覚ますまで広くて温かな胸にしがみつき眠った。
バーバがマーに悪戯しないようにちゃんと見張っててくれ。柚原さんに頼まれたウーさんが寝ずの番でドアの向こう側で聞き耳を立てていたとは。全く知らなかった。
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