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番外編 ナオさんのまさかの本音
信孝さんに体を支えてもらい、松葉杖をつきながらナオさんが帰ってきたのはお昼過ぎだった。若い衆たちから熱烈大歓迎を受け目が点になっていた。
「ナオ、非常に言いにくいんだけど」
「え?何?」
なかなか部屋に入ろうとしない信孝さんにナオさんが不思議そうに首を傾げた。
「驚かないでほしいんだ」
「だから何が」
「あ~~ぁ、もぅ、まどろっこしいな」
彼がずんずんと前に出るとドアを勢いよく開けた。
「ナオ喜べ。兄夫婦想いの龍成からの退院祝だ」
「………」
目の前に広がる光景にナオさんは唖然とし、完全に固まってしまった。
可愛い!歓声が聞こえてきて後ろを振り向くと、紗智さんが目をキラキラと輝かせていた。
「朝帰りならぬ昼帰りか。お帰り。なかなか帰ってこないから、何かあったんじゃないかって心配したんだぞ」
「高行さんが離してくれなくて。フロントからチェックアウトの時間だって連絡来てそれで飛び起きて……ごめんなさい」
項垂れて、目だけ上を見た。
「髪、跳ねまくっているぞ。あとで直してもらえ。ホテルに備え付けのシャンプーを使ったのか?何で普段使っているのを持っていかないんだ。バイブよりそっちが大事だろう。なるべく早く橘に薬を塗ってもらえ」
彼が紗智さんの髪をぽんぽんと撫でた。
「これ以上掻くなよ。更に酷くなるから」
「ありがとうバーバ」
「おぅ」
彼の表情が緩んだ。
「ねぇ信孝さん、紗智さんと卯月さん本当の親子みたいだね」
「そうだな」
「未知さんは焼きもちを妬かないから。だから子どもたちみんな仲良しだしだよね。僕は絶対無理だな。未知さんみたく出来ない」
「実はな、ナオが入院している間、オヤジと橘がいちゃついてて、姐さんが焼きもち妬いて大変だったんだ」
「えぇ~~嘘~~」
ナオの声が上擦った。
「僕見たかったな。未知さんが焼きもち妬く姿。信孝さんばっかりズルい」
頬っぺをこれでもかと膨らませ睨み付けた。
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