1788 / 4011

番外編 灯台下暗し

「ママ、おふとんふかふか。きもちいい!」 組事務所の隣の、通称ハート部屋では、遥香と晴くんと未来くんがベットの上でコロコロと嬉しそうに転がっていた。 遥香がどうしてもここに泊まりたいと言い出して、陽葵と遥香と三人で今晩だけ泊まることになった。 パーテーションで仕切られた向こう側には信孝さんとウーさんと弓削さんが控えているから安心だ。 「未知さん大丈夫?狭くない?」 「いっつもねっぱって寝てるから大丈夫」 ナオさんがクスクスと声を立てて笑い出した。なんか変なこと言ったかな? 「未知さんの福島訛り可愛いなって思って」 ねっぱってって、方言なんだ。はじめて知った。 深夜1時過ぎ。陽葵におっぱいを飲ませ、縦に抱っこし背中を擦りげっぷをさせていたら、向かい側のビルに明かりが点いていることに気付いた。 暗闇のなかでまわりだけほの暗い光を落としていた。 「弓削さん……起きてる訳ないか」 こんな真夜中だもの。そう思っていたら、 「姐さん、どうしました?」 弓削さんの声が聞こえてきたからビックリした。 「あのね、向かい側の、工事がストップしているビルに明かりが点いてるの。あ、消えた」 「お邪魔します」 弓削さんとウーさんと柚原さんがすぐに駆け付けてくれた。 「柚原さん、何で?」 柚原さんもいたからびっくりした。 「ウーは昨日も一昨日も一睡もしていない。交代しようかと思ってな」 言われてみてはじめて気付いた。 「ごめんなさいウーさん」 ウーさんが首を横に振りながら、なにかを口にした。 「姐さんを守るのが俺の仕事。むしろ誇りに思っている。明かりはまだ仄かに点いている。消えてはいない」 柚原さんが通訳してくれた。

ともだちにシェアしよう!