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番外編 芫さんとテウさんの接点

「ママ、はなびのおとするよ」 遥香の声が聞こえてきて。体が一瞬こわばった。 「大丈夫。寝言だ」 信孝さんが布団を掛け直してくれた。 「ねぇ、さっきの音何?」 ナオさんの体がごそごそと動いた。 「明かりはつけるな」 「え?なんで?」 「向かい側のビルをサツが取り囲んでいる」 「え?嘘」 信孝さんの言葉にナオさんが飛び起きた。 「テウとテウの娘が潜伏している可能性がある」 「そんなまさか……」 動揺し声が上擦った。 「そのまさかだ」 信孝さんが自分を落ち着かせるためか、ふぅ~~と息をはいた。 ー誰か救急車!ー ー相手は銃を所持している。気を付けろ!ー 深夜の町に怒号が飛び交い、ただならぬものものしい雰囲気に緊張が走った。 すっかり目が覚めてしまったナオさんは、信孝さんの手を借りながら子どもたちが眠る隣のベットに移動した。 弓削さん、さっき何て言おうとしたんだろう。それが気になって仕方がなかった。 「芫が俺に身の上話しを聞かせてくれたことが一回だけある。兄弟間でひいきする親のもとで育ったこと、親が信仰していたカルト集団の中で育ったこと。そのカルト集団を裏で操っていたのが青蛇(チンジェ"ア)だ。カルト集団の幹部に超という名前の男がいた。超と書いて、テウと呼ぶらしい」 弓削さんが外の様子を警戒しながら驚くべきことを静かに話しはじめた。

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