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番外編 テウさんと芫さんの接点
「テウの名前が出た時点でなんですぐに思い出せなかったのか。面目ない」
「気にするな」
頭を垂れた弓削さんを彼が宥めた。
「シェドは芫の双子の弟だ。カルト集団ではその美貌から覡《かんなぎ》として神に仕え、カルト集団のトップ、みなに教祖と呼ばれていた男の寵愛を一身に受けていた。教祖が亡くなったあとは、神格化され生き神様として崇められたそうだ。教祖はシェドに暗殺された、それが周知の事実らしい」
弓削さんが詳しく知っていたから、へぇ~~すげぇな。彼が舌を巻いていた。
「姐さんの力に少しでもなりたい。姐さんが喜ぶ顔を一目でいいから見たい。姐さんの顔を思い出すとなぜか正気でいられるんだ。鷲崎にスマホを借りたり、施設にあったタブレットを借りたりして当時の新聞記事の国際ニュースを片っ端から読んだんだ。それでも分からないことは、鞠家に頼み、中国国内にいる鞠家の知り合いに聞いたりしたんだ」
「そうか、弓削も未知ラブだもんな」
「姐さんのそばにいるだけで幸せだ。一日でも早く復帰して、姐さんの弾よけに戻らないと、ウーひとりじゃ大変だからな。俺にとって姐さんは生きる希望だ」
熱のこもった弓削さんの言葉に、恥ずかしくて真っ赤になった。
「弓削さん、あまり褒めないで下さい」
「ありのままの事実を述べたまでだ。照れてる姐さん、本当に可愛い」
「弓削さんったら、もう……」
彼に焼きもちを妬かれそうでひやひやした。だから顔を見るのが怖かった。
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