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番外編 テウに引導を渡すのは俺の役目

「姐さんを頼む」鞠家さんにエレベーターの中に押し込まれた。 9階で下りると柚原さんが笑顔で出迎えてくれた。 「離せ!テウに引導を渡すのは俺の役目だ!」 事務所から鳥飼さんの声が漏れ聞こえていた。 「彼も寝ずの番でずっと見張っていたんだ。仮眠をとっていたとき、姐さんと一太たちが下に下りていったことを聞いて飛び起きたんだ。見送りはエレベーターの前まで。外には出ない。オヤジがいるから大丈夫だ。何度言っても聞き耳を持ちやしない」 柚原さんに少しの間待ってもらって、事務所に顔を出した。 「鳥飼さんごめんなさい。危険だとは百も承知だったんだけど……」 「寝坊した奏音が寝惚けて姐さんを光希さんだと勘違いし、駄々を捏ねて離れなかった。ヤスから聞きました。良かったです。無事で」 「テウさんの娘さんも、無事に保護されるといいですね」 「……」 鳥飼さんの表情が険しくなった。 悪いことを聞いたかも知れない。 「今言ったこと忘れてください。ごめんなさい、お邪魔しました」 慌ててドアを閉めた。

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