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番外編 仲直りのキス

黙って話しを聞いていたナオさんが「おかしいよ」ぼそっと呟いた。 「だって、お母さんが九鬼家の人たちにいじめられて辛い思いをしたのに、それなのになんで九鬼総業を再興させようとしているのか僕には理解出来ない」 「ナオの言うことも一理ある。俺だったら……おぃ、フー」 フーさんが鳥飼さんの頬っぺにちゅっと軽くキスをした。 「おっかねぇ顔より笑った顔が鳥には似合う。フーがそう言ってる」 「ごめんな」 顔を真っ赤にしながら謝ると、フーさんがふふっと意味ありげに笑った。 「は?チューしろって?ここでか」 鳥飼さんの額から汗が噴き出した。 「家ならいいよ。チューでもなんでもしてやる」 フーさんが不貞腐れて首を一回だけ横に振った。 「分かったよ。仲直りのチューすればいいんだろう。だだし、一回だけだぞ。姐さん、ナオ、すみませんが後ろを向いててください。すぐに終わります」 朝からラブラブ全開で仲睦まじいふたり。そんなふたりを目をきらきらと輝かせ、じーっと見ていた亜優さんが柚原さんと那和さんに何かを聞いた。 「鳥飼は中国語が分からないのにフーとなんでコミュニケーションが取れるのかって亜優に聞かれたから、愛あれば言葉の壁なんか関係ない。身ぶり手振り、相手の目を見て、心のなかで、ふたりにしか分からない言葉で会話をしている。そういう夫婦もいる。そう伝えた」 「亜優はぴゅあだから、ちょっと難しかったみたい」 那和さんがクスクスと笑った。

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