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番外編 シェドの本性
頭では子どもたちが待っている家に帰らないといけないのは分かっていたのに、足は自然とエレベーターへ向かっていた。
ボタンを押そうと手を伸ばしたら、扉が開いたからびっくりして手を引っ込めた。
「嬉しいな。未知のお出迎え付きか」
彼とウーさんが下りてきた。
「遥琉さん、こなつさんはシェドに利用されているだけ。お母さんをいじめた人たちに復讐しようとしている。なんとしても止めなきゃ。ウーさんも言ってたでしょう。今ならまだ間に合うって」
「菱沼組の姐さんは誰にでも優しい。身の上話しをして同情させればころっと簡単に騙せる。すぐ近くに獅子身中の虫がいることすら気付かない世間知らずのお人好しだ。姐さんが面倒みると言えば、たいがい反対する者はいない。ちょこまかと動きまわるガキは無視しろ。赤ん坊の首根っこを掴み人質にすれば、連中は手も足も出ない。赤ん坊と姐さんを殺せば、シェドは何でも望みを聞いてくれる。夢華の後釜になれるかも知れない。テウはシェドが好きなこなつの気持ちを利用しようとしたんだよ。だから鞠家とウーに通訳してもらいこなつを説得しようと試みた。シェドはきみを恋人にする気はない。騙されているって。娘が大事なら中学校に行かせ、ちゃんと勉強させる。人殺しの真似事など絶対させないし、物騒なものを飲ませたりはしないだろう」
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