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番外編 シェドの本性
近所の住民から異臭がすると通報が相次ぎ、警察がビルに強行突入したのは9時過ぎだった。
「なんとも呆気ない幕切れだな。結局テウは何がしたかったんだ」
立て籠っていた8階のフロアはもぬけの殻だった。
テウも、人質になっていた刑事も神隠しにあったように忽然と消えていた。
「ハチからメールが入った。渡辺が鳥飼に会いに来たみたいだ。随分と仕事熱心だな」
「またフーの機嫌が悪くなるぞ」
「九鬼家の人間関係は複雑だからな。鳥飼に聞いた方が手っ取り早いのは分かるが、なんせ亭主が焼きもち妬きだからな……」
「人間関係を複雑にしたのは色狂いの先々代だ」
居間にいるのは彼と鞠家さんと柚原さん。三人の会話が妙に噛み合ってない。
「一服したらいかがですか?」
橘さんが飲み物を運んできてくれた。
「おぅ、悪いな」
「これは?」
テーブルの上に置かれた写真に橘さんの視線が止まった。
「いなくなった刑事とハチは知り合いだ。サツを辞めるとき、たまたま偶然その刑事とすれ違ったみたいで最後の記念に一枚撮影したらしい。その刑事は渡辺の部下だ。昨夜一緒に組事務所にも来た」
「おそらくシェドの信者でしょうね。渡辺さんら同僚を監視していたんでしょうね」
「サツには彼以外にも信者がいる。だから上から圧力がかかった」
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