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番外編 僕に出来ること
「バカ野郎、なにやってんだ」
事務所の前を横切ろうと思ったら彼がひとりの若い衆を怒鳴りつけていた。
彼の邪魔にならないように物陰にささっと隠れた。
「おめぇらしくねぇな。ドジ踏んだことを怒ってるんじゃねぇ、怠慢を怒っているんだ」
「オヤジ、カシラ俺が悪かったです」
腰を九の字に曲げ、彼や鞠家さんに頭を下げると蜂谷さんらと一緒にその場から足早に走り去った。
「未知、隠れなくても大丈夫だ。出てこい」
「うん」
顔色をちらちらと見ながらそぉーと前に出た。
「どうした?」
「ナオさんたちにお昼ごはんを届けに行こうと思って」
「きみがわざわざ届けなくても。橘や柚原がいるだろう」
「橘さんも柚原さんも、太惺と心望をおんぶしてお仕事してて忙しそうだから……陽葵はねんねしてる。これくらいしか手伝えないけど、少しは動かなきゃ」
「きみらしいな」
目を眇めクスッと笑うと、
「俺も一緒に行く。ナオにひとつ確認したいことがあるんだ。そんな顔するな、たいした用じゃない」
頭をぽんぽんと撫でると、ぶら下げていた紙袋を代わりに持ってくれた。
「じゃあ、俺も」
紗智さんが待ってるからと鞠家さんもついてきてくれた。
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