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番外編 僕に出きること
「嘘………」
紙袋の中身を見るなりナオさんが声を震わせ泣き出した。
ままたん特製のヒレカツサンドイッチ。ナオママが退院したら真っ先に食べたさせてあげたいって晴くんたちが3日前から橘さんに頼んでいた。キャベツ多めのソース控えめのカラシ抜きの特注品だ。
「橘さんだってすごく忙しいのに……」
「橘なりの退院祝だろう。ヒレカツが好物なんだろう。遠慮せずに食べたらいい」
「ありがとう卯月さん。信孝さんに連れていってもらったとん太ってお店で食べたヒレカツが美味しかったんです。お肉が柔らかくて、キャベツも甘くてしゃきしゃきしてて感動したんです。自分でもたまに作るけど、橘さんみたく上手になかなか出来なくて」
「無理して作る必要はない。子どもたちみたく食べたいものをどんどんリクエストして作ってもらったらいいんだ。橘も柚原も旨い、美味しいって言いながらもりもり食べてもらえるのが一番嬉しいみたいだ」
那和さんと紗智さんがサンドイッチを紙の皿に並べたり、飲み物を運んだりして、お昼の準備をはじめた。
「ナオ、嫌なことを思い出させるようで悪いんだが、この男を覚えているか?」
彼がスマホの画面をナオさんに見せた。
「あ、……」
驚いたような声をあげ、目を見開いた。
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