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番外編 橘さんとチカちゃん
「千里と裕貴と遼成は自他ともに認めるシスコンでしょう。そうなるとファザコン?いや、ままたんだからマザコンになるのかな?」
「何をぶつぶつ一人言を言ってるんですか。未知さんは一人娘ですからね、私も柚原さんも未知さんが可愛くて仕方がないんです。ですから婿である遥琉についついきつく当たってしまうんですよ」
「ついついじゃねぇだろう。ままたんが俺にだけおっかねぇのはいっつもだろう。ひまちゃんは旦那を尻に敷かない優しい奥さんになるんだぞ」
陽葵を抱っこしあやしていた彼が小声でぼそぼそと呟いた。
「遥琉、今、何て言いました?」
「え?いや、何も言ってねぇぞ。一人言だ。陽葵を寝せてくる」
橘さんに思いっきり睨まれ、そそくさと逃げ出した。
それを見たチカちゃんが、
「相変わらず仲いいね。酸いも甘いも噛み分けた熟年夫婦みたい。未知が焼きもちを妬きたくなるのも分かる」
うんうんと頷いた。
「チカそのくらいで止めといた方がいいぞ。頼むから橘を本気で怒らせないでくれ。飯抜きのここから追い出されるぞ」
信孝さんがびくびくしながら、チカちゃんに頼み込んでいた。
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