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番外編 姐さんを守るのは俺の使命だ
「そのために俺ら弾よけがいるんだ」
弓削さんが居間に入ってきた。
「死ぬ気か?」
「前も言ったはずだ。姐さんの為に死ねるなら本望だって。手はこんなだが、姐さんを守るのは俺の使命だ。他の者には任せられない」
ぴたりと張りつくウーさんをちらっと横目で見ると、
「ウーは新婚だ。赤ん坊もいる。今回だけは弾よけから外してくれ」
彼に頼み込んだ。
「そういえばさぁ、楮山も命を狙われてるんでしょう?」
「正確にいえばカミさんの方だがな。身から出た錆だ」
「シェドも夢華も義足の男も、信者を置き去りにしてさっさと雲隠れしちゃったし」
「シェドと芫は弓削の前に必ず現れる。そう簡単には諦めないよ」
「なんでまた弓削なの?地竜でいいじゃん」
「強くて厳つい男が好みらしい。地竜も勿論強いが、ヤツは未知一途だ。未知しか見てない。どう頑張っても努力しても振り向いてもらえない。だから、弓削にシフトチェンジしたんだろう」
「なるほどね」
チカちゃんの視線が弓削さんの手元に向けられた。
「手の傷は治っても、心に負った傷は一生掛かっても癒えることはない。酒と一緒に飲ませられたとはいえ………人間止めますか?って昔のコマーシャルを思い出したよ」
黒革の手袋を哀しげに見つめた。
「遥琉さん、そんなコマーシャルあったの?」
首を傾げて彼に聞いたら、
「未知は分からないか、そうか。これが、世代間ギャップっていうか、なるほどな」
ひとりで納得していた。
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