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番外編 橘さんとチカちゃん
陽葵を敷布団の上にそぉーと寝せて、布団に潜り込むと彼の香りがふっと鼻を掠めた。
彼はまだ居間で橘さんたちと話し込んでいる。
さすが兄弟。三人同じ寝相なんだから。
布団を蹴飛ばし寝ている遥香と太惺と心望の布団をかけ直して、うとうとしていたら、
「未知まだ起きているか」
すっとドアが開いて彼が寝室に入ってきた。
「うん」
返事をすると、
「良かった」
布団が捲られ、弾けるような笑顔で彼が隣に潜り込んできた。
「話し合い、終わったの?」
「今日のところはな」
広い胸に抱き締められ、ぎゅっとしがみつくと、何度となく背を撫でられた。
「未知がなんでこうもみんなに愛されのか……いつも不思議に思っているんだ」
「どうしたの急に?」
「ん?ふと思ったんだ」
彼の声は優しい。
髪を撫でられ、前髪を梳き上げられ、目と鼻の距離から見つめられた。
「一人占め出来ないのが悔しいが」
そこで言葉を一旦止めるとにっこりと微笑んでくれた。
「愛してるーー未知。これを言えるのは俺だけの特権だ」
「僕も、遥琉さんが好き……大好き……です」
面と向かって言うのは恥ずかしかったけど、こうして大好きって言えることが何より嬉しくて、そして幸せだった。
「随分と嬉しいことを言ってくれるじゃねか。ありがとう」
囁きが耳を掠め、唇が唇に触れてきた。
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