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番外編 あやみさんとなやちゃん

翌日の午後。 K駅前にある駅前交番から組事務所に一本の電話が掛かってきた。 「駅構内でふたりのガキが駅員に助けを求めた。菱沼組に鳥飼という男がいる。彼ならあーちゃんとなーちゃんを絶対守ってくれる。母親の知人という男性が東京駅までふたりを連れてきて、仙台行きの新幹線にふたりを乗せるといなくなったらしい。名前を聞いても答えないから駅員が交番に連絡したみたいだ」 椅子に掛けてあった上着を颯爽と羽織った。 「片方のガキが脇に抱えていた人形、血まみれだったそうだ。もう片方のガキが持っていたおそらく鳥飼宛ての手紙だろう。それにもベットリと血が付いていたらしい」 「遥琉さん、もしかしてそのふたり………」 「まゆこの子どもだろうな。鳥飼に聞いた話しだとまゆこは40歳くらい。先代の九鬼善栄との間に中学生くらいの女の子が一人。同居している男性との間に小さい女の子がいるらしい。捜査員がまゆこの部屋を訪れたら、部屋が荒らされ、まゆこら一家全員いなくなっていた。命がけで娘を逃がしたんだろう。それにしても困ったことになった」 彼が困惑するのも無理ない。 まゆこさんと睦さんは母親が違う。 まゆこさんの母親も他のひとたちと一緒に、睦さんのお母さんに対し、口ではいえないくらいかなり陰湿ないじめをしていたと聞いている。 「どんな事情があるにせよ子どもには罪はないなからな」 厄介なことにならなければいいが、一抹の不安を口しながら、橘さんらと事務所に急いで向かった。

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