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番外編 あやみさんと奈梛ちゃん

「明日、ひかりケ丘厚生学園のスタッフがあやみを迎えに来ることになった」 「奈梛ちゃんは?」 「頼まれたから連れてきただけ。私には妹はいない。その一点張りだ。まゆこには申し訳ないが奈梛はこのまま児童相談所に保護してもらおう」 彼とそんなことを話していたら、 「その必要はありません」 鳥飼さんがフーさんと仲良く手を繋ぎ居間に入ってきた。 「姐さんが心配して様子を見に来てくれたとカシラから聞きました。寝てしまいすみませんでした」 頭を深々と下げられ、 「頭をあげて下さい」 慌てて声を掛けた。 「奈梛はしばらく俺とフーで面倒をみます。千夏が2歳だった睦を置いて九鬼家からいなくなったことを思い出しました。睦は寂しくて毎日泣いていた。どんな理由があるにせよ奈梛にも同じ思いをさせる訳にはいかない。フーも側にいてくれますし。まゆこには言いたいことが山のようにありますが、奈梛には何ら罪はありません」 鳥飼さんがビクビクしながらフーさんを見上げると、鳥の好きにしたらいいよ、大きく頷きにっこりと優しく微笑んだ。

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