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番外編 あやみさんと奈梛ちゃん
「家に帰ってもひとりでしょう。話す相手もいなし。ダーリンは東京だし。だからもう少しだけここにいようかなって、そう思ったの」
「ナオさんが喜びます」
「未知は?嬉しくないの?」
「チカちゃんとなかなか話す機会がないからすっごく嬉しいです」
「良かった」
お握りをあっという間に食べ終わると、
「未知、大~~好き」
むぎゅーと抱き締められた。
「ナオ、焦らなくていいぞ。ゆっくりで」
「ありがとう柚原さん」
チカちゃんが夕方まで滞在することになり、柚原さんに付き添われナオさんが遊びに来てくれた。
「千里に爪のお手入れ方法を教えてもらったの。だって、ダーリンに綺麗だって、可愛いって言われたいんだもの」
順番に爪を綺麗にしてもらい、最後にふわっとした優しい香りのハンドクリームを手の甲から指にかけて塗ってもらった。
「赤ちゃんでも使える無添加無香料のハンドクリームよ。紗智、那和もおいで。ここちゃんとたいくんもお姉ちゃんっておいで」
興味津々の様子で見ていた紗智さんたちに気付くと笑顔で手招きした。
「未知、電話じゃないの?」
チカちゃんに言われ電話に出ると睦さんだった。
ーチカさんいる?ー
声が震えていた。
「睦さん、大丈夫?」
ー大分落ち着いた。聞きたいことがあって、それで……ー
「ちょっと待ってて」
チカちゃんにスマホを渡そうとしたまさにその時、電話越しからパンパンと乾いた音が二回聞こえてきた。
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