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番外編 あやみさんと奈梛ちゃん

彼が橘さんと帰ってきたのは午後3時過ぎ。帰り支度していたチカちゃんに呼ばれ玄関に行くと、鳥飼さんの背中におんぶされ、愛らしい寝顔ですやすやと眠る奈梛ちゃんがいた。 「あやみさん、やっぱり奈梛ちゃんを置いていったんだ」 「さすが善栄の娘だ。一筋縄ではいかない気の強さ、頑固さは父親譲りだな。奈梛を一切見ようとはしなかった」 「あやみさんに奈梛ちゃんを託したのは、やっぱり厚生学園のスタッフだったの?」 「本人は否定していたが、ほぼ間違いない」 彼が名刺を見せてくれた。 【ひかりが丘厚生学園・副学園長 鈴木啓予】 「呼び方は゛ひろよ゛だ。なんか、裏があるような気がしてならないだ」 「奈梛は母親らを連れ去った犯人の男たちを見てる。楮山は一歳のガキでも容赦しない。血も涙もない男だ。だから預かってしばらく面倒をみることに決めた。まゆこを許したという訳じゃないが、子どもに罪はない」 鳥飼さんにぴたりと寄り添うフーさん。時折鳥飼さんと奈梛ちゃんを見つめては満足そうにニッコリと微笑んでいた。 「奈梛がふたりに懐くまでが大変だと思うがな。ま、そのうちフーは、奈梛に焼きもち妬きを妬くようになるだろうよ」 「どっかの誰かさんみたくね」 チカちゃんがクスクスと笑った。 「チカ、その一言が余計なんだ」 痛いところをつかれ苦笑いを浮かべていた。

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