｢何度も掛けてすまない。都内にあるアーマス･ホテルって聞いたことがあるか？」 ーアーマスホテル？ー ーほら、臨海公園の近くに建っている高級リゾートホテルだー ーあぁ、あれか。泊まったことはないが、ビルの上層階がホテルになっているんだ。エントランスがこれまた豪華で、壁にはん千万する有名画家の大きな絵画が掛けられ、飾りやカーテンやフラワーテーブル、まるで美術館を訪れたようなオブジェが然り気無く配置されているんだ。スイートルームにはカウンターバーやプールが完備されていて、有名人がお忍びでちょくちょく宿泊しているらしい。アーマス･ホテルがどうしたって？ー ｢柚に夢華のプログにもしかしたら手掛かりがあるかも知れないって言われて、夢華のプログを遡っていたんだよ。そしたら、半年くらい前に、そのホテルのスイートルームで女性信者たちの誕生日パーティーが開催されていた。鈴木はホテルスタッフに化けて、スイートルームに出入りしていたことが判明した」 ーなるほどな。分かった。若いのにすぐに調べさせるー ｢同じ日の別のプログには、天蓋付きのベッドの上でシェドが女性信者にそのケーキじゃなく、ブラウニーを食べさせている写真があった。チカに聞いたら大麻入りのブラウニーだろうって。だから、くれぐれも気を付けろよ」 ーなにがあっても光希を残して先には逝かない。龍成の一人勝ちだけはなんとしてでも阻止しないとな。遥琉、ありがとうー 今、何て言った？聞き捨て………龍成さんの声がしたと思ったけどその前に電話が切れた。