1840 / 4011
番外編 亜優さんお手柄
鈴木さんはシェドと夢華の行動をまるで監視しているようだった。
「何のために?」
「カルト集団に大切な家族を奪われて、教祖のシェドに復讐する機会を虎視眈々と狙っていたとか。意外と当たってるかも知れませんよ」
「なるほどな」
「鈴木さん、わざと野暮ったいメガネを掛けて地味な格好はしていましたが、メガネの下の素顔は夢華より遥かに美人だと思いますよ。それこそシェド好みの」
「それをわざわざ隠しているってことは、鈴木に瓜二つの妹か、もしくは双子の妹がいてシェドの餌食になったというこうことか」
「おそらくそうでしょうね。さすがは縣一家の元姐さんです。柚さんの観察眼は全く衰えていませんね」
橘さんがスマホで【シェド被害者】と検索をかけると、カルト集団被害者の会、カルト集団から家族を救う会、など複数ヒットした。
「あれ」
「どうした?」
「救う会の代表、大学の先輩だった方です」
「そうか」
「彼にそれとなく聞いてみます」
「頼むな」
ふたりの足元にそぉーと近付く可愛らしい小さな足音。
ままたん、めっけ。太惺と心望が橘さんの足にむぎゅーと抱き付いた。
これには橘さんも驚いたみたいで、
「おめめが覚めたんですね。おいで」
ニコニコと笑いながら心望を抱き上げると膝の上に乗せた。ふたりいっぺんは大変だからと、太惺は彼が抱き上げ膝の上に乗せてくれた。
ともだちにシェアしよう!

