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番外編 柚原さんの焼きもち

「へぇ~~一丁前に焼きもちを妬くんだ。オヤジと橘がどんなにイチャついていても焼きもちを妬かないお前が、珍しいな」 「鞠家、もしかして喧嘩を売ってるのか?」 「な訳ないだろう」 鞠家さんがノンアルコールの缶ビールを柚原さんの前に置くと、スマホの画面を覗き込んだ。 「ぱっと見、エリートサラリーマン然とした外見で、なかなかいい男だな」 「どうせ俺は何の取り柄もない男ですよ」 「まぁ、そうやっかむな」 「ほっといてくれ」 つい喧嘩腰になってしまう柚原さん。 前に置かれた缶ビールを手に取り、プルトップを開ける。軽く炭酸の弾ける音がして、白い泡が溢れてくる。それが零れる前に口を寄せた。 「なぁ、柚原。なんか、この男匂わねぇか?」 「そうか?」 「橘の先輩を悪くは言いたくないが、善良面して裏ではとんでもない悪党だったりして」 「元刑事だったお前がそう感じるなら、意外と当たってるかもな。優璃にどんな男なのかあとで聞いてみるよ」 柚原さんがスマホの画面を閉じようとした時、何かに気付いた亜優さんがつかつかと近付いた。 「もう一人焼きもち妬きがいた」 「なんだ亜優もままたんの先輩が見たいのか?ちょっと待ってろ」 亜優さんが首を振り、身ぶり手振り何かをふたりに訴えた。

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