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番外編 キス魔

遥琉をあまりつけあがらせないで下さいね。ほぼ間違いなくキス魔になって暴走するので。橘さんに散々注意されていたのに、すっかり頭から抜けていた。 「あ、あのね、遥琉さん」 闇に近い暗がりなのに、彼の顔が妙にはっきり見えた気がした。 「ずいぶんと嬉しいことを言ってくれるじゃねぇか」 顔が近付いたと思った直後、掠めるように口付けられた。 「はる…さ……ーー」 陽葵が見ているのに。 「ママはパパのだって、今からしっかり教えてやらねぇと、な、未知。そうだろう?」 悪びれる様子もなくニヤリと笑うと、すぐに陽葵と寝る場所を交換し、キスを求められた。 「待っ……て、ひまちゃん……」 唇を啄まれる間にチラチラと陽葵を見ていたら、 「ほっといてもじきに寝る」 強引にこじ開けられた唇から、滑らかな舌が口のなかに入ってきた。 「ふ、う……んんっ……」 エッチは当分お預けだろう?だから、その分キスをいっぱいしよう。 僕の舌が彼の舌に絡め捕られた。 鼓膜が擦れ合う感覚が、ぴりぴりした刺激になって身体中に流れていく。 ぴちゃぴちゃと混ざり合う唾液の音がいやらしく響いていた。 外では雷鳴が轟き、青白い稲光が走っていた。 キスに夢中になっていたこともあり、枕元に置かれていた彼のスマホがぶるぶると振動していることに僕も彼も全く気付かなかった。

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