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番外編キス魔
電話に気付いた彼がすぐに掛け直すと、
ーお取込み中だってお兄ちゃんに言われていたんだけど、急を要することだから電話をしたの。ごめんね。邪魔して。わざとじゃないからねー
「分かってるよ。要件はなんだ」
ー西岡が撃たれたの。夢華が主宰する例のお茶会の真っ最中に背中を撃たれたみたい。意識不明の重体よー
「マトリやソタイがそれこそ血眼になってシェドや夢華を探しているのに呑気なもんだな。喧嘩を売っているとしか思えない。で、楮山とダオレンは?」
ーそれがね楮山もダオレンもどこにもいないのよ。上田らが必死になって探しているわ。舎弟らを組事務所に張り込んではいたんだけど……-
「まんまと逃げられたか。まぁ、しゃあない。相手が一枚も二枚も上手だったってことだ。さすがは地竜の元右腕だっただけはあるな」
ーは?聞き捨てならない台詞だなー
「なんで?」
ほんの一瞬、彼の息が止まった。それもそのはず。アメリカにいるはずの彼がいるんだもの。普通誰だって驚く。
ー千里と電話会議中だった。今すぐにでも未知のところに帰りたいよ。遥琉、未知に代わってくれー
「未知以外の男は眼中にないか。相変わらず冷たい男だな」
ー何か言ったか?全然聞こえないー
都合の悪くなるといつもこうだ、彼がやれやれとため息をついていた。
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