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番外編 福光尚也だったころの記憶
ナオさんはベットに横になりぼんやりと空を眺めていた。
「いつみさんの話し聞いて、なんか、昔のこと思い出しちゃった」
今にも泣き出しそうな表情だった。
「ナオさんごめんなさい」
「なんで未知さんが謝るの。謝る必要なんかないのに」
ナオさんが手で体を支えながら起き上がろうとした。
「無理しないで。横になったままでいいよ」
「ありがとう未知さん」
「ナオさんも話したいことがあるなら話してよ。それで気が楽になるなら付き合うよ」
「俺もとんとん付き合う」
「僕も」
ナオさんを囲むようにベットの上に腰を下ろした。
「子どもたちは大丈夫?」
「遥琉さんがみててくれてるから大丈夫。もし何かあれば連絡を寄越すと思うから」
「それなら良かった」
ナオさんが福光尚也だったころの話しをポツリポツリと話してくれた。来る日も来る日も辛いことばかりで毎日泣いて暮らしていたこと。そんな日々を送るなか、どんなに助けを求めてもまわりにいる大人たちは誰も助けてくれない。自分は【ただの性欲処理ロボット】【人でなくただのモノ】ということに気付いたとき、心の中でなにかがぷちっと切れたこと。それからのことはよく覚えていないことを涙ながら話してくれた。
「信孝さんに出会って、僕は光を取り戻すことが出来た。でも、信孝さんのことをずっと好きだった光希さんの妹さんを傷付けてしまった。それはまぎれもない事実だから、ちゃんと背負って生きていくことに決めたんだ。もう、やだな。さっきから泣いてばっかいる」
ナオさんがえへっと笑って涙を手で拭った。
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