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番外編 九鬼の女

「これがなんだか分かるか?」 「え?」 いつみさんは怪訝そうに顔をしかめた。 「睦が母親宛てに書いた手紙だ。幼稚園の年少からはじまり、小学校を卒業するまで睦は毎週のように母親を信じ健気にも手紙を書いていた。母親が自分を捨てんじゃないと分かった睦は、いつか会える日を信じ、また手紙を書きはじめたんだ。理不尽な理由で母親を奪われた睦の気持ちを考えた事があるのか?それでも同じ九鬼の人間か?」 鳥飼さんは怒りに声を震わせた。 「楮山はなんの罪もない女たちをクスリ漬けにして男たちの玩具にしている。それを知っていながら、なんで楮山を止めようとしなかったんだ。シェドと夢華と手を切るようになんで言わなかった。クスリに一度手を出したら最後。人間を止めることになる。お前らの私利私欲のために、なんでなんの罪もない女たちの未来が奪われないといけないんだ。女たちにも大切な恋人や友人やかけがえのない家族がいる。楮山とお前は彼らの人生までぶっ壊したんだ。ふざけるな!」 鳥飼さんが涙ながらに訴えた。 「なんで九鬼を捨てたか、理由は、オヤジの方が先代、先々代より器が大きく血の通った人間だったからだ。夫と引き合わせてくれたのもオヤジだ。だから俺はオヤジに一生ついていこうと心に誓った。いつみ、こそこそ隠れてないで、人としてやるべきことがあるはすだ。分からないなら、下で待っている渡辺に聞いたらいい」

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