1864 / 3501

番外編 九鬼の女

「遼、龍、光希といちゃついている真っ最中だよな?邪魔して悪いな」 ー悪いと思うなら電話を寄越すなー ーいつみが兄貴に助けを求めたって聞いて、上手い具合に丸め込まれているんじゃないかって心配していた癖にー ーうるさいなー ーいま、確か、遥琉って……奏音は?未知は?ナオは?みんな無事なの?ー ー落ち着け光希ー ーみんな無事だ。奏音も未知もナオも、みんな。だから、落ち着けー ー良かった……ー 光希さんがほっとし胸を撫で下ろした。 くちょん、可愛らしい咳も聞こえてきた。 ー光希、服。風邪をひくー ーなにか拭くものー 相変わらず三人はラブラブだ。 目じゃなく、耳の置き場に彼、困っていた。 「龍、彩の初公判のとき傍聴席に座っていたよな?」 ーあぁ、自慢じゃないが昔からくじ運とカミさん運だけはいいんだ。最前列の真ん中の席に座っていたー 「そうか。それなら聞くが、弁護士の川合についてなにか気になったことがないか?」 ーいきなり言われてもな……ー 「なんでもいいんです。ハイヒールじゃなくぺたんこの靴を履いていたとか、丈の短いスカートじゃなくゆったりめのズボンを穿いていたとか、体を冷やさないように薄手のカーディガンを羽織っていたとか、何度もトイレに行ってたとか。あとなんだろう……」 頭に浮かんだことを片っ端から龍成さんに伝えた。

ともだちにシェアしよう!