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番外編 九鬼の女
雑談には応じるものの、事件のことになるといつみさんは貝のように固く口を閉じて完全黙秘を貫いた。
楮山と川合さんの行方はようとして知れず。上田さんも火災当日の朝組事務所で目撃されたのを最後に消息を絶った。
二日後、石山ことダオレンが組長代行に就任。事態の収拾に乗り出した。
ダオレンがまずしたことは楮山と西岡の舎弟たちの粛清。特に組長と盃を交わした幹部は真っ先に始末された。
千里さんが危惧していた通り、多くの血が流れることになってしまった。
「ダオレンは組事務所があったマンションの近くに新たに事務所を構えた。シェドを崇拝する若い女性たちが引っ越しの手伝いのためひっきりなしに出入りしている」
「事故物件で幽霊が出るとかで手付かずのまま放置されていた2階建ての建物を格安で買い取ったみたいだ」
「祟られても知らねぇぞ」
「シェドは生き神様だ。怖いものはない」
彼と鞠家さんら幹部が膝を付き合わせて話し合っていた。
発見された遺体が川合さんだとはまだ特定されていない。
夢華の可能性も鈴木さんの可能性も捨てきれない。消息を絶ったあやみさんかも知れない。いろんな憶測が飛び交っていた。
陽葵を抱っこしあやしながら邪魔にならないように遠巻きに見守るしか僕には出来なかった。
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