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番外編 負の連鎖をどこかで止めなきゃ

「未知、寝ないと体が持たないぞ」 「うん、それは分かっているんだけど……」 「遥香も太惺も心望も昼夜逆転していたからな。さすがは兄弟だ」 彼が笑いながら陽葵の顔をそっと覗き込んだ。 「鞠家、柚原、未知と陽葵を寝かし付けてくる。なにか連絡が入ったら教えてくれ。もし寝ていたら叩き起こして構わない」 「分かった」 彼と寝室に移動し、陽葵を寝せて隣に寝るとと、彼が背中側にごろんと横になった。 そのままぎゅっ、と抱き締められた。 「ねぇ遥琉さん、さっき夢華さんの名前が出てたけど……」 「シェドは生き神とはいえ生身の人間だ。好きな女も変わる。夢華は悪いことをして名前が売れただろう?サツにもマトリにも重要参考人としてマークされている。夢華がそばにいると自分にも捜査の手が伸びる。だから夢華が邪魔になった。そう考えるのが普通だ。千里からの情報だと、事務所に出入りしている女たちは全員シェドのお気に入りで、第二の夢華になろうと目論んで、水面下で女の争いをしているらしい」 「またお茶会を開いて、男性から大金を巻き上げて、なんの罪もない女性たちをクスリ漬けにするの?心も身体もボロボロになって、一生苦しみ続けることになるんだよ。禁断症状に苦しみ発作的に飛び降り自殺したひとや、自分を責めて自殺したひとがいるって聞いた。これじゃあ、減るどころか被害者が増える一方だよ。どこかで止めなきゃ」

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