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番外編 俺らみんなの姐さん
「みんな未知と同じ気持ちだ」
そのまま包み込まれるように抱き締められ、幾度となく優しく髪を撫でられた。陽葵が寝たのを確認してから大好きな彼の腕の中にゆっくりと身体を預けた。
ほっとする温かさに全身から力が抜けていく。一番安心できる場所だ。
鈴木さんもあやみさんもどうか無事でいて。そう願いながら、彼に腕枕をしてもらい、夢心地のままいつの間にか眠ってしまったみたいで、陽葵の泣き声に気が付いて慌てて飛び起きた。
部屋の中は薄暗かったけど、台所と居間の明かりはついていて、ヒソヒソと話す橘さんと鞠家さんたちの声が聞こえていた。
「起こしてしまいましたか?」
「いいえ、大丈夫です。おっぱいをあげたんですけど、足りないのかな?泣き止まなくて。疲れて寝ている彼と、たいくんとここちゃんを起こすわけにもいかないから」
「遥琉はここ三日、ほとんど寝てませんからね。ひまちゃん、おいで」
橘さんが頭を支えそっと抱き上げてくれた。柚原さんと笑顔で陽葵の顔を覗き込むと、さっきまで泣いていたのが嘘のようにぴたりと泣き止んだ。さすがままたんとままたんだ。
「姐さん、身体を冷やすと大変だ」
鞠家さんがブランケットを肩に羽織らせてくれた。
「ありがとう」
「なにか温かい飲み物でも持ってきます」
「大丈夫です。自分で出来ます」
「姐さんは座っててください」
悪いと思いながらも鞠家さんの好意に甘えることにした。
「未知さんはみんなの未知さん、みんなの姐さんですからね、女丈夫のいつみさんを見て色々と思うことがあったみたいですよ」
橘さんがくすっと笑っていた。
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