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番外編 目は心の鏡

「鳥飼の弟分だったとはいえ、今は楮山の舎弟だ。信用できない」 弓削さんがキッパリと言い切った。 「甲崎はなんて?」 「調べたがそれらしき事件はなかった。当事者同士話し合って金で解決したかも知れない」 「そうか」 弓削さんが腕を前で組んだ。 「どうした気になる事があるのか?」 「目だ」 「目?」 「目は心の鏡ってことわざがある。目はそのひとの心を映し出す鏡だ。姐さんみたく心の正しいひとは、瞳も美しく輝いている。でもミツの目は違う。鋭く警戒した目だ。芫と同じ目をしている。なにかを企んでいる気がしてならないんだ」 「そうか。なるほどな」 「多少危険は伴うが、あえてミツを泳がせて様子を見よう」 鞠家さんが姿を見せた。 「菱沼金融でやたらと声がでかくてイキのいい兄ちゃんを探している。どうだうちで働いてみないか。そう声を掛けるのはどうだ?鳥飼のそばに置いて、鳥飼に監視させておくのも手だが、間違いなくフーが焼きもちを妬いて暴走する。それに奈梛に危険が及ぶのだけは避けなければならない」 「それと姐さんと子どもたちとナオたちにもだ」 「そうだな」 弓削さんが鞠家さんに通訳してもらい、ウーさんと亜優さんとしばらく何やら話し込んでいた。

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