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番外編 ちょっとお兄ちゃん‼
「つまり、ふたつあった遺体をバラバラにして一つの遺体にしたってことか?」
ーそうよ。証拠を消すために灯油を撒いて火を付けたのよ。サツがほかの遺体を懸命に探してるわー
「いつみは知らぬ存ぜね。完全黙秘だ」
ーさすがは九鬼の女。一筋縄ではいかないわね。楮山の消息も依然として不明だし、石山は……ー
くちゅん。小さなくしゃみが出た。
「千里さんごめんなさい」
ーちょっとお兄ちゃん‼ー
「こ、これには色々と理由が……言っておくがまだ何もしてないぞ。未知、服を着ろ」
ー着ろじゃないでしょう。脱がせた張本人が着せてあげなきゃ。お兄ちゃんに言いつけるからねー
「千里、それだけは勘弁してくれ。ままたんめっちゃ怖いんだ。未知のことになると人格が変わるんだ」
彼が慌ててパジャマを着せてくれて。
ブランケットを肩に羽織らせてくれた。
「ありがとう遥琉さん」
肩に添えられた彼の手にそっと手を重ねると、
「おぅ」
彼の目尻が下がりっぱなしになった。
ーあの~~ちょっといいかしら?光希のところといい、未知のところといい、本当、年がら年中いちゃついてるよね。ご馳走さまー
「千里、石山がなんだって?」
ー楮山がまだ見付かってないのに明後日襲名式を行うみたい。かぶちゃんたちが警戒を強めているけど、当の本人は夜通しどんちゃん騒ぎよ。いいご身分よねー
千里さんが電話越しに深いため息をついた。
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