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番外編 石山の組長襲名式

彼を兄貴と慕う宇賀神組の渋川さんというひとが隠し撮りした動画をパソコンに送信してくれた。 「宇賀神組って九鬼総業の直参だった組だよね。今は楮山組の直参なんだ」 「あぁ、そうだ。組長の宇賀神は楮山を快くは思ってはいなかったがな。妻子を人質に取られ、妻子の命を守るため宇賀神は石山に忠誠を誓うしかなかったんだ。渋川は若頭補佐だ」 襲名式は式次第にのっとり粛々と進められ、式終了後、杯直しの儀式がはじまった。 ー楮山の子飼いの舎弟はほとんど粛清されたからな。やはりメンバーがガラリと変わっている。神聖な儀式に紋付き袴を身に付けず、女を侍らすなど前代未聞だなー ー揃いも揃ってなんちゅう格好をしてるんだ。ストリップ劇場じゃねぇぞ。場所を間違えているんじゃねぇかー ー呆れてものが言えん。いまの若いものは一体何を考えているんだー 彼とテレビ会議をしていたお祖父ちゃんと度会さんと秦さんが唖然としていた。 彼と一緒に見ていた根岸さんは額に手をあててはぁ~と深いため息をついていた。 「亜優にはちいと刺激が強かったな」 顔を真っ赤にする亜優さんに鞠家さんが笑いながら声を掛けた。 真っ白なシースルーのベビードールを着た女性や、お尻が見えるくらい背中が丸出しの真っ赤なチャイナドレスを着た女性が石山に肩を抱かれ、虚ろな目つきでたばこを吸っていた。

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