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番外編 彼の弟分

「ねぇ遥琉さん、このたばこ、大麻たばこじゃないよね?どう表現していいか分からないけど、女のひとたちなんか変だから。お酒も大麻入りとか……そんなのあり得ないか」 嫌な予感がしてならなかった。 「いや、あり得ない話しでもないぞ。宇賀神は匂いで異変を感じ飲んだフリをして、杯を渋川に回した。渋川は酒が飲めないから、杯ごとありがたくちょうだいしますと石山に答え杯ごともらい受けた。ふたりとも飲んではいない。渋川が咄嗟に機転を利かせ、宇賀神が急に持病の発作を起こし体調が悪くなったといってそこから連れ出した。しばらくして渋川が様子を見に戻ると、ふたりの女性の他に数人の女がいて、男たちが奪い合っていたそうだ。ちなみに渋川にも男ヨメがいる。だから女に興味はない」 画面を見ながら彼が教えてくれた。 ー渋川は無類の男好きでな。といっても可愛い系じゃなく、ガッシリとした厳つい男くさい男が好みなんだ。宇賀神から渋川の男遊びをどうにかして止めさせて欲しいと相談を持ち掛けられた遥琉が渋川にヨメを紹介したんだ。そしたらひとが変わったように大人しくなっちまった。まぁ、一人、二人、いまだに関係を続けている弟分がいるのは確かだがー 度会さんから驚くようなことを言われ目をぱちぱちさせていたら、 「そんな驚くことでもあるまい。たまたま渋川好みの男が俺の近くにいて、ソイツは恋人と別れたばかりで、それでヤクザだけど根はいいヤツだ。見た目と違い優しいヤツだ。どうだ、付き合ってみないかと声を掛けただけだよ」 彼にクスクスと笑われてしまった。

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