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番外編 ミツさんの正体

「なんだミツも弓削が好きなのか?」 「は?そんな訳……」 ミツさんは言葉を濁した。 「弓削がここに来ると決まってお前は弓削をじっと見つめている。それだけじゃない、弓削の動きを目で追っている。目は口ほどに物を言うっていうだろう。ミツ、お前のその目は弓削に恋をしている目だ」 蜂谷さんがミツさんの手首を掴みと、ミツさんは胸ぐらから静かに手を離した。 「お前は一体何者なんだ?」 「俺はミツだ。田島光司(たじまみつじ)だ」 「じゃあ聞くが妹の名前は?」 「田島彩葉(たじまいろは)だ。姪の名前は咲茉(えま)だ」 「あれおかしいな」 「なにがだ」 「知り合いの警視庁組織犯罪対策部の刑事に、お前の家族について調べてもらった。彩葉はすでにこの世にはいない。妊娠したことが判明した翌日に火災で焼失した楮山組の組事務所があったマンションから飛び降り亡くなっている。光司は妹に無理矢理クスリを打ち集団でレイプした強制性交等罪と殺人罪で楮山とシェドと夢華らを訴えるべくサツに行こうとして、轢き殺された。死体がなければ殺人事件として立件されないからな。タカが家族に付き添われて出頭したぞ。供述通り死体が奥多摩の山中から見付かった。タカはお前の正体を知った上で協力していたと、サツに話している」 ミツさんは黙り込んでしまった。

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