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番外編 ミツさんの正体

ふふふ、不気味な声でミツさんが突然笑い出した 「何がおかしい」 「いや、別に」 ミツさんが弓削さんを見つめた。 「初恋の相手が橘の側にいるとは予想外だった。まさに運命の悪戯だな。シェドには逃げられたが、夢華といつみを始末し、残るは楮山のみ」 ミツさんが一瞬の隙を付いて、蜂谷さんの手を振り払うと机の上に軽々と飛び乗った。 「ミツ、何をする気だ?」 350mlのペットボトルとライターをポケットから取り出した。 「これは灯油だ。この机のしたにも灯油が入ったペットボトルが隠してある。これに火を付けたらどうなると思う⁉一階があっという間に火の海になって煙が充満する。上の階にいる組長や組幹部それに組長の家族は逃げるにも逃げられないよね。赤ん坊もいることだし」 「ミツ、止めろ」 弓削さんと蜂谷さんは危険を省みず体を張ってミツさんを止めようとした。でもミツさんは薄笑いを浮かべながら、ペットボトルのキャップを開けて液体を撒き散らした。 若い衆が慌てて窓に駆け寄り窓を開けようとしたけど、 「余計な真似をするな。火をつけるぞ」 ミツさんがライターの火をちらつかせ若い衆を脅した。

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