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番外編 ナントカナル

アタシとダーリン、大阪に向かってるのよ。チカちゃんから彼のスマホに連絡が入った。 ハイエナと呼ばれる男が何者か聞きたかったみたいだった。 「ハイエナは部屋住みの身から楮山の懐刀にまで上り詰めた男だ。九鬼総業が解散したときにヤクザを辞めたが、数ヵ月も経過しないうちに楮山のところに舞い戻っている。荒稼ぎして羽振りがいいって聞いた。楮山や上田を匿っている可能性だって十分にあり得る。チカ、くれぐれも気を付けろよ」 ーありがと、ハルくんー 改正風営法違反(無届け、禁止地域営業など)での強制捜査だ。 鈴木や、違法薬物が見付かれば一石二鳥なんだが……国井さんが本音をポツリと漏らした。 まゆことまゆこの旦那が生きている可能性は極めて低い。奈梛をこのまま引き取り面倒をみるか、施設に預けるか、覚悟を決めておいたほうがいい。彼にそう告げられた鳥飼さん。フーさんの膝の上でぽんぽんと跳ねて、楽しそうに遊ぶ奈梛ちゃんを哀しげな眼差しで見つめた。 「ナントカナル。ニィァォ」 フーさんが鳥飼さんに笑顔で手を振った。 「フーの言う通りだ。なるようにしかならない。奈梛、鳥《ニィァォ》も混ぜてもらってもいいか?」 「うん」 ふたりの隣に座ろうとしたら、フーさんの長い腕が鳥飼さんの腰に回ってきて、そのまま軽々と抱き上げられ片方の膝の上にちょこんと着地した。 チュッと額に軽くキスされ、 「ちょっとフー」 慌てふためきながら顔を真っ赤にした。

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