1893 / 4013
番外編 ナントカナル
アタシとダーリン、大阪に向かってるのよ。チカちゃんから彼のスマホに連絡が入った。
ハイエナと呼ばれる男が何者か聞きたかったみたいだった。
「ハイエナは部屋住みの身から楮山の懐刀にまで上り詰めた男だ。九鬼総業が解散したときにヤクザを辞めたが、数ヵ月も経過しないうちに楮山のところに舞い戻っている。荒稼ぎして羽振りがいいって聞いた。楮山や上田を匿っている可能性だって十分にあり得る。チカ、くれぐれも気を付けろよ」
ーありがと、ハルくんー
改正風営法違反(無届け、禁止地域営業など)での強制捜査だ。
鈴木や、違法薬物が見付かれば一石二鳥なんだが……国井さんが本音をポツリと漏らした。
まゆことまゆこの旦那が生きている可能性は極めて低い。奈梛をこのまま引き取り面倒をみるか、施設に預けるか、覚悟を決めておいたほうがいい。彼にそう告げられた鳥飼さん。フーさんの膝の上でぽんぽんと跳ねて、楽しそうに遊ぶ奈梛ちゃんを哀しげな眼差しで見つめた。
「ナントカナル。ニィァォ」
フーさんが鳥飼さんに笑顔で手を振った。
「フーの言う通りだ。なるようにしかならない。奈梛、鳥《ニィァォ》も混ぜてもらってもいいか?」
「うん」
ふたりの隣に座ろうとしたら、フーさんの長い腕が鳥飼さんの腰に回ってきて、そのまま軽々と抱き上げられ片方の膝の上にちょこんと着地した。
チュッと額に軽くキスされ、
「ちょっとフー」
慌てふためきながら顔を真っ赤にした。
ともだちにシェアしよう!

